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日本市場や日本企業の再認識と情報発信を考える懇談会 第2回懇談会 投資家層拡大のための情報発信活動の考え方 日本の証券市場インフラ:国際競争力の視点から 平成25年1月25日

日本市場をより魅力的なものにしていくためには、市場を支える投資家層をいかに拡大していくか、証券市場の機能をいかに進化させていくかが重要なカギとなります。第2回懇談会では、フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史氏が、投資家層拡大に向けた情報発信をどのように考えるべきかを提言しました。早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の宇野淳氏は、取引の高速化や高頻度取引(HFT)が進む証券市場インフラについて、国内市場が現在どのような状況に置かれ、国際競争力を高めるために何が必要かを話しました。

野尻氏が所長を務めるフィデリティ退職・投資教育研究所は、投資信託の運用会社であるフィデリティ投信が、投資に対する理解をより多くの人に広めていく目的で設立しました。同研究所では、投資未経験者を含む幅広い層を対象としたアンケート調査などに基づき、どのような層にどんな情報を発信すべきかを考察しました。
プレゼンテーションの資料はこちら

投資から遠い「未投資家層」に
なぜ投資すべきかを伝える

写真:野尻委員

金融機関の販売員が投資信託などの金融商品を販売する際に、商品の内容についてはきちんと理解して話しますが、投資家のことを理解して話をする方はそれほど多くはないのではないでしょうか。投資家の属性や行動についてのデータをきちんと集め、その内容を販売員や投資家自身にわかっていただくことが、投資家層の拡大に向けた投資家教育のスタートラインになればいいと思います。

まず「投資をしている人」はどのくらいいるのか。我々が2010年2月に実施した「サラリーマン1万人アンケート」では34.0%で、日本証券業協会が2009年に実施した「証券投資に関する全国調査」によると19.1%という結果でした。投資家層に対する「未投資家層」と呼ぶべき層が、全体の7割から8割存在するのです。

投資をしない理由で未投資家層を分けると、例えば「貯蓄で十分」という方は投資には遠い気がしますが、「魅力的な商品がない」という方は、もう少し何かをすれば投資に近づいてくれそうです。未投資家層の中で、投資までの道のりが遠い層に対してはAwareness、つまり「なぜ投資をしなければいけないか」を理解するところからアプローチすることが重要だと感じています。

確定拠出年金を使った時間分散の訴求
日本版ISAは投資家層の拡大に非常に有効

写真:懇談会の様子

確定拠出年金の加入者の投資行動をマーケティングの視点から見るために、加入者1212人を対象として2011年12月にアンケートを行いました。質問の答えと、確定拠出年金における元本確保型商品の比率との関係を見てみると、「DC(確定拠出型年金)とDB(確定給付型年金)の違いがわかる」と答えたのは42.5%で、その大半が「口座情報の入手方法を知っている」「拠出額、残高を知っている」と答えています。実際にAwarenessが取れている層の多くが、すでに投資につながる行動を取っているわけです。

「サラリーマン1万人アンケート」では、「老後資金を用意するために国や政府に期待したいサポート」についても尋ねています。最も多い回答が「雇用の安定」で、次が「預金金利の引き上げ」。いずれも投資のきっかけからは遠いものです。この層にこそAwarenessという一石を投じる必要があると思います。一方で、3割程度の方が「老後資金の準備を目的とした積立に対する国からの補助金」や「非課税貯蓄制度の拡充」を挙げています。興味深いのは、どの年収層も同様に非課税貯蓄制度を必要としていることです。今後、日本版ISA(日本版ISAは、最大500万円までの投資額にかかる配当・譲渡益が非課税となる制度で、平成26年から導入されます。)をソリューションとして提供できることは非常に有効だと考えます。

投資教育を進めるために有効だと考えるのは、ひとつは家庭での教育。もうひとつは確定拠出年金制度の活用です。アンケートの結果から、長期投資、分散投資、時間分散という投資の3つの原則のうち、時間分散への認知度が低い傾向があるため、確定拠出年金を通じてその意義を訴求していければと思います。

投資へのネガティブな印象の払拭を考える必要もあると思います。テレビや映画で証券マンはヒーローとして描かれておらず、どちらかといえば悪いイメージがついている。そのイメージを変えていくことも必要ではないでしょうか。若い方を対象として、投資教育をブランディングやマーケティング活動と考えれば、今と違ったことができるのではないでしょうか。

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