「証券投資の日」記念イベントリポート

⾃律的に⼈⽣をデザインすることが豊かさや成⻑につながる

10月3日、東京・千代田区の大手町で「証券投資の日」記念イベントが開催された。
若い世代に、今後のライフイベントを見据えた資産形成のための知識を深めてもらおうと、2つの講演が実施され、当日は20~30代の投資未経験者を中心に約100人が参加。資産運用を含めたライフデザインのあり方に関する講演に、参加者は真剣に耳を傾けた。
会場には、マスコットキャラクター「とうしくん」も登場し、記念撮影する参加者も多くみられた。

第1部 妄想用婚姻届で考えるライフデザイン講座

第1部では、リクルートブライダル総研研究員の落合歩氏が「妄想用婚姻届で考えるライフデザイン講座」と題して講演を行った。
落合氏は、冒頭で「今後の人生を長期的視点で考え、大きな分岐点で主体的・自律的な選択をするためのヒントを見つけてほしい」と講演の趣旨を説明。「お金のことを考える前提として、まず自分の人生をどうしていきたいか、ライフデザインについて考える必要がある」と述べた。

写真:リクルートブライダル総研研究員落合歩氏
リクルートブライダル総研研究員
落合歩氏
写真:参加者に質問を投げかける落合氏。和やかな雰囲気が会場を包む。
参加者に質問を投げかける落合氏。
和やかな雰囲気が会場を包む。

ライフデザインを具体化するツールとして用意されたのが「妄想用婚姻届(ライフデザインVer.)」。実際の婚姻届を模したもので、自分の結婚年齢、結婚相手の職業・年収、交際期間や夫婦の呼び方、相手の性格・外見・趣味などに加え、子どもの予定や家事・育児の分担、出産後の就業など、結婚後のライフスタイルについて書き込む欄も設けられており、自身の今後の生活をトータルで考えることができる作りになっている。
参加者は「妄想用婚姻届」を実際に作成し、これを基に結婚を含めた今後のライフイベントについて考えた。

落合氏は「結婚するのが『当たり前』の時代から、『選択する』時代になった」といい、生涯未婚率が男性23.4%、女性14.1%と、この20年の急激な変化をデータで提示。「結婚する・しない、どちらの選択を取ったとしても人生に長期的影響を与える。だからこそ、情報を得ながら自身が納得する選択をしてほしい」と説明。さらに、「結婚や出産などは誰でもすぐに実現できるものでもない。例えば、結婚までの交際期間は平均で3.5年かかっている。自分の実現したいタイミングを見定めながら逆算して考えていくことも重要」と、主体的に結婚時期や出産時期を考える必要性を強調した。

写真:学生や社会人など、様々な聴衆を前に講演してきた落合氏の経験や知識、各種データに裏付けられた内容に、参加者の集中力は高まる。
学生や社会人など、様々な聴衆を前に講演してきた落合氏の経験や知識、各種データに裏付けられた内容に、参加者の集中力は高まる。
写真:真剣に自身のライフデザインを考える参加者たち。
真剣に自身のライフデザインを考える参加者たち。

また、晩婚化に伴い、子育てや親の介護のタイミングが変化していることや、共働き世帯が増加し、出産・育児における夫婦の役割が変化している現状をデータで示しながら説明した。
落合氏は「様々な情報を参考にしながら、結婚・出産のタイミングなど長期的なライフデザインを複合的かつ連動的に考える機会を作ってほしい」と話し、「そうした主体的、自律的な選択が、今後の豊かさや成長につながる」と力を込めた。

第2部 愛があれば、お金なんて関係ない…ですか?~長期・分散による、『つみたて』資産運用のススメ~

第2部では「愛があれば、お金なんて関係ない…ですか?~長期・分散による、『つみたて』資産運用のススメ~」と題して、東京証券取引所金融リテラシーサポート部の森元憲介氏が、将来のライフプランを見据えた資産形成について講演した。
森元氏は「『勘定合って銭足らず』という言葉があるように、収入が多くても家計が破綻することもある。資金繰りのシミュレートをしておくことが重要」と指摘。シミュレーションの一つとして、ライフイベントと必要費用を一覧にした「ライフイベント表」の作成を促した。

写真:東京証券取引所金融リテラシーサポート部 森元憲介氏
東京証券取引所金融リテラシーサポート部 森元憲介氏
写真:自身の経験と絡めたり、データを引き合いに出したりし、投資初心者に向けて証券投資への理解を促す。
自身の経験と絡めたり、データを引き合いに出したりし、投資初心者に向けて証券投資への理解を促す。

森元氏は、ライフイベントに必要な資金を作る主な手段として「預貯金」「投資」「保険」をあげ、このうち預貯金については「デフレ時代に入った1995年を境に世界観が変化した。低金利の下、預貯金でお金を増やすのは難しい時代になった」と指摘した。
一方、投資には「難しい」「余裕資金が必要」「お金持ちだけがやるもの」というイメージがあることに対しては「投資は資産形成のためにある。早い段階から取り組むべき」と説明。株式や債券への投資の仕組み、魅力やリスク、貯蓄との違いなど、投資の基本について解説した。

投資に伴うリスクについては「価格変動リスクや信用リスクは、投資先を分散させることで軽減できる」と述べ、一例として、株式や債券、不動産など複数銘柄に、少額から投資できる投資信託を紹介した。
森元氏は「これからの投資において重要なキーワードは『分散』『積立』『長期』の3つ」と強調。「投資対象を、異なる値動きをする株式や債券などの複数銘柄に分散させるとともに、地域もグローバルに分散させ、かつ長期運用することが負けにくい投資につながる」という。
こうした少額・長期の投資を後押しする新たな流れとして、2018年1月から始まる「つみたてNISA」や、2017年から公務員や専業主婦なども加入できるようになった「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などの新制度も紹介された。

写真:投資初心者に向けた各種資料が揃う。意欲的な参加者が多く、次々に手に取っていく。
投資初心者に向けた各種資料が揃う。意欲的な参加者が多く、次々に手に取っていく。
写真:「より多くの人に投資を身近に感じてほしい」との願いから生まれたとうしくん。証券知識普及プロジェクト主催のイベントを中心に活躍している。
「より多くの人に投資を身近に感じてほしい」との願いから生まれたとうしくん。証券知識普及プロジェクト主催のイベントを中心に活躍している。

「つみたてNISA」は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託を対象に、投資から最長20年間、年間投資額40万円を上限に非課税となる制度で、現行NISAとの選択が可能だ。
また「iDeCo」は、基本的に60歳未満の全ての人を対象にした個人型の確定拠出年金で、掛金の全額所得控除、運用益の非課税、一時金・年金受け取り時の税制優遇といった措置が受けられる。
「国も、長期・少額投資をバックアップする制度を用意している。市場に愛を注ぐことで大きな果実を得るチャンス。ロボアドバイザーなどフィンテックのサービスも充実しており、若い世代が資産運用に取り組むにはとても良い時代がやってきた」と森元氏。
「資産運用は、夢を実現するための手段。自分のお金を見つめ直す機会を設け、現実世界をしっかりと幸せに生き抜いていくために、マネーライフを充実させてほしい」と講演を締めくくった。

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