職員インタビュー

金融・資本市場の健全な発展に、
バランスを考えた
ルールづくりで寄与

自主規制本部 自主規制企画部長
1993年入職 工学部工業経営学科 卒

大学の研究テーマが証券市場の上場会社における配当性向の分析であったことから、証券業界に興味を持つように。証券関係に勤める人が身近にいたことと、その当時、本協会で株式店頭市場のJASDAQシステムを開発・運営し、システム部が新設されていたことなどから入職を希望した。
入職後はJASDAQシステムの開発・運用に携わったのち、店頭市場部で上場制度に関わる各種ルールの制定や運用などを担当。その後、資格管理部、自主規制企画部、IT管理部を経て、2016年7月から部長として、自主規制企画部を率いている。

複数の部署を経験し、株式市場に関する知識を集積

入職後の3年間はシステム部に所属し、JASDAQシステム(店頭市場システム)の開発・運用を行っていました。その後、店頭市場部への異動があり、株式店頭市場に上場している会社の適時開示に関するルールづくりなどに携わりました。2001年2月に店頭市場が株式会社ジャスダックに移管されたことに伴い、同社に出向。店頭市場部にいたころと同様の業務を担当していました。
約1年半の出向を経て本協会に戻り、資格管理部に配属されました。資格管理部は、その部署名のとおり、証券会社や銀行等の金融機関の社員が営業する際に必要となる「外務員資格」を扱う部署で、教科書となる「外務員必携」の作成や外務員資格試験の問題作成を行っていました。ちょうど私が配属される前年、それまでマークシート方式だったテスト問題を、PCを使ってできるように変更していました。運用が始まって2年目であり、取り組むべき課題が多くありました。もともとシステム部だったため、その業務を担当することに。システムの運用手続きを確立しつつ、「外務員必携」や試験問題をつくるという業務でした。すべての試験を稼働させるまでに2、3年掛かったと思います。
ここまでのキャリアとしては、最初に3年いたシステム部で株式市場関連の勉強をすることができ、次の店頭市場部でも同じく市場周りの知識を身に付けることができました。資格管理部ではシステムの開発・運用にも携わりましたが、証券会社の社員が営業するうえで守らなければならないルールに関する教科書の作成、外務員資格試験の問題作成も行っていました。そのため法律や自主規制ルールについて一通りの知識が求められ、その3年間でさらに証券市場について幅広く勉強する機会を得ることができたと思います。

金融商品取引法への大改正に対応し、自主規制ルールを整備

次に配属となった自主規制企画部には6年間在籍しました。自主規制企画部は、証券会社や銀行等の証券業務に関する幅広いルールを所管しています。特に本協会の目的の一つでもある投資者保護の観点からの投資勧誘に関するルールや、顧客管理に関するルールの制定・改廃、ルールを検討するための会議体の運営、さらには、これらの問い合わせに対応しています。当時、課長として配属されていましたが、ちょうどそのころ、2006年から2007年にかけて、証券取引法から現在の「金融商品取引法」への法律の大改正がありました。
自主規制ルールは法律を土台にしたものですから、本協会が所管しているさまざまなルールも、全面的に見直さなければなりません。50以上の規則、ガイドライン等を、法律の施行日までに全て見直さなければならない。それこそ、朝から晩まで、金融庁の担当官とは法令解釈の確認を、証券会社の担当者とは、その解釈を踏まえ、どのように規則を見直していくべきかといった打合せを連日のように行っていました。同僚や部下と手分けをしながら膨大な量の見直し作業をこなし、これらをやり遂げたことが、その後のキャリアの中でもとても良い経験になりました。
その次がIT管理部。現在はIT統括部という名称になっていますが、そこに4年間いました。それまで、システムは業務の必要性に応じ、担当部署が開発・運用するという形になっていましたが、各部署のシステム関連業務を取りまとめ統括管理する必要性が生じ、すべてのシステム管理をIT統括部に集約することになり、その任にあたりました。協会員、担当部署、システムベンダーとの調整を図りながらの作業は大変でしたが、貴重なマネジメント経験となりました。

変化し続ける金融商品取引業界の発展を、ルールづくりで支援

2016年7月、再び自主規制企画部に戻り、部長として同部署を率いることになりました。金融商品取引業界は、日々刻々と進化しており、また、社会情勢も変化しています。これらの状況を踏まえつつ、投資者保護を図りながら、自主規制ルール等を整備し、金融商品取引業界全体のコンプライアンスを充実させていくことが使命であると考えています。
ここしばらくの動きで言えば、従来の対面営業主体の証券会社のほか、インターネット専業証券、銀行系の証券会社、というカテゴリができるなど、証券会社の規模や業務のあり方が多種多様になってきています。さまざまな要望がある中で、協会員の意見を取りまとめてルールをつくっていく必要があり、その点は昔より難しくなってきていると思います。
技術革新は、これからも証券会社のあり方を変えていくでしょう。インターネットができて、営業員が顧客をまわるのではなく、全部システム上で完結していこうという業務スタイルの証券会社が登場しています。最近では、金融とITのさらなる融合による新しいビジネスサービスとして、フィンテックの活用が話題になっています。証券業界でもその一つとして、ロボアドバイザーという、プログラムが自動でポートフォリオの提案や運用アドバイスをするようなサービスも登場してきています。こうした新しいサービスが、これまでのルールとどう整合するかなども議論することになります。金融の最前線では、まさにいろいろな事が起きているのです。

金融・資本市場の健全な発展のために、できることを考える

実際にルールをつくるときは、基本的に、まず協会員である証券会社の担当者や有識者の方々に毎回ワーキング・グループという形でお集まりをいただき、どういうルールにするかを議論していただきます。新しい法律ができたときには、その条文の意味するところを監督官庁である金融庁に確認しながら証券会社の現場の業務に落とし込み、かつ投資者保護の観点を常に保ちながら対応します。業界としてつくるルールは、証券会社自身をしばるものかもしれませんが、金融商品取引業界がこれからも発展していくために必要なルールです。証券会社と投資者。どちらか一方に厳しすぎると、証券会社が疲弊したり、投資者がいなくなってしまったりと、結果的に業界自体が衰退します。バランスを考えたルールづくりをすることが大事で、その点に本協会が力を発揮できる部分があり、またやりがいもあります。
本協会の社風を一言でいうと、「誠実さ」ではないでしょうか。入職したときから、自社のためではなく、金融・資本市場の健全な発展ために、どのように、何をしていくかということを学んでいくことになります。これは、金融庁、協会員、投資者などの声を聞きながら、さまざまな事案に対応していく中で、培われてきたものだと感じています。社会生活の基盤の一つである金融・資本市場の健全な発展のために、何事にも耳を傾け、真摯に取り組む姿勢をもって対応する。こうした姿勢が何より重要だと思っています。

Career Step

  • 1993.04
    システム業務部  JASDAQシステム(店頭市場システム)の開発・運用を行う。
  • 1996.04
    店頭市場部  株式店頭市場における上場制度にかかわる各種ルールの制定や運用、適切なディスクロージャーの実現のための支援など上場会社への幅広いサポートを行う。
  • 2001.02
    株式会社 ジャスダック出向(現:株式会社大阪取引所)  株式店頭市場を株式会社ジャスダックに移管したことに伴い、出向。
  • 2002.07
    資格管理部  証券外務員資格に係る「外務員必携の作成」「外務員資格試験の問題作成」を行う。
  • 2005.07
    自主規制企画部  自主規制ルールの制定やガイドラインの整備(金融商品取引法への改正対応)を行う。
  • 2011.07
    IT管理部(現:IT統括部)  協会が運営している各種システムの開発・運用を行う。
  • 2016.07
    自主規制企画部

1Day Schedule

6:00
起床
8:30
出社
ニュース、メールの確認
9:00
午前業務
本部内のミーティングにて、週間予定の確認。所管する業務案件の整理
11:30
昼食
12:30
午後業務
業務の進捗確認、内容確認、決裁
18:00
業務終了
19:00
帰宅
19:30
夕食・家族と団欒
21:00
入浴&趣味の時間
録画したドラマや映画を見る。インターネットでNewsやスポーツなどを見る。
24:00
就寝
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