会長挨拶
会長挨拶
日本証券業協会は、金融資本市場の公正かつ円滑な運営、金融商品取引業の健全な発展及び投資者の保護を目的として設立された、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の認可を受けた唯一の団体です。 金融資本市場は、市場メカニズムによる効率的な資金配分機能に基づき、投資者の資産運用の場及び次代を担う成長産業をはじめとする企業の資金調達の場として、我が国経済において重要な役割を担っております。 このため、本協会は証券投資による資産形成の推進及び活力ある金融資本市場の実現を通じて我が国経済の一層の発展に貢献するよう、次の重点施策に取り組んでまいります。
1.国民の安定的な資産形成の実現に向けた取組み
「貯蓄から投資へ」の流れをさらに大きく確かなものとするため、NISAをはじめとする資産形成支援制度の利用状況等に関する情報発信を適時適切に行うとともに、NISA制度の更なる利便性向上に向けた見直しや確定拠出年金制度の制度・事務の改善について関係各方面への働きかけ等を行います。
また、国民の金融リテラシー向上に向け、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の運営の支援・連携に取り組む他、有価証券投資に関連した詐欺への対応として投資家向けの注意喚起やコールセンターの運営等を行います。
さらに、高齢世代の継続的な資産運用・管理や、次世代へその資産及びリテラシーを継承するための代理人取引について、引き続き検討を行います。
2.顧客本位の業務運営の推進・市場仲介者としての機能と信頼性の向上
協会員の「顧客本位の業務運営」の推進に取り組むとともに、コンプライアンス相談窓口の運営等を通じた協会員のコンプライアンス体制整備の支援、社会課題の解決に向けた会員の人材育成の支援を行います。
また、証券業におけるミドル・バックオフィス業務の効率化等を図るため、業界横断的な検討を行うとともに、必要以上に形式的・画一的になっている規制の緩和について働きかけを行う等、規制のスクラップアンドビルドに向けた取組みを行います。
さらに、証券取引における各種手続きのペーパレス化・デジタル化等の推進、会員におけるサイバーセキュリティ対策水準の向上支援を行います。
3.SDGsの推進等による社会との連携
SDGs達成に向けた国内外のパートナーシップの強化に取り組むとともに、証券業界における働き方改革やダイバーシティの一層の推進を図るための情報発信やセミナー等を行います。
また、証券業界・銀行界における子ども・若者の貧困問題への取組みの機運を一層高めるため、全国銀行協会と連携し、業界横断的な取組みを検討、実施してまいります。
さらに、国民各層に、証券会社の機能や役割等の理解の促進をより一層図るため、証券会社の業務等を幅広く紹介する取組みを検討、実施してまいります。
4.活力ある金融資本市場の機能・競争力の強化
特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)の更なる利活用に向け、J-Ships銘柄の周知活動を行うとともに、スタートアップのリスクマネー供給促進のための環境整備を行います。
また、金融イノベーションの進展への適切な対応、社債市場の拡充・多様化に向けた環境整備、国際金融センターの実現に貢献する取組みを行うとともに、本邦における更なる株式の決済期間の短縮に向けた課題について、関係機関と連携し、情報収集を行います。
5.グローバルな情報発信・連携の拡充
我が国資本市場へ投資を呼び込むため、海外向けプロモーション活動を推進します。
また、我が国におけるトランジション・ファイナンス等に係る取組みの国際資本市場への意義発信・理解促進の支援を行います。 さらに、国際資本市場におけるサステナブル・ファイナンス等の最新の取組みに係る市場関係者への情報発信・働きかけを行うとともに、海外関連機関との協力・連携強化を図ってまいります。
本協会はこれからも金融資本市場の発展と投資者がより一層信頼できる投資環境の整備・充実のために、全力を注いでまいります。
2024年7月
日本証券業協会
会長 森 田 敏 夫