第12回

生涯年収の平均っていくら?
これからの将来に向けて
備える方法も紹介!

一生涯でもらえる賃金って一体どれくらいなんだろう?企業や学歴によっても違いがありそうだよね。これからの人生を支える大事なお金だから、知っておきたいな。

会社員として働いた場合にもらえる賃金収入は、合計すると一体どのくらいあるのでしょうか。企業規模や学歴、雇用形態などによってもその金額は大きく異なります。平均金額を知り、今後のライフプランやキャリアを考えるヒントにしてくださいね。

企業規模別・学歴別の生涯年収の平均

まず、企業規模別に生涯年収の平均を見てみましょう。

企業規模別生涯年収(2020年) 資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、「就労条件総合調査」、総務省「国勢調査」

男性、女性とも、企業規模が大きくなるほど生涯年収は高くなります。たとえば男性の大学・大学院卒の場合、企業規模1,000人以上では3億円にまで達していますが、企業規模 10~99人では2億1千万円※と、1億円近くも差が生じています。
※この金額は、学校を卒業後、60歳までフルタイムの正社員を続けた場合の生涯年収(退職金は含まず)です。転職した場合は同じ規模の企業に転職したとしています。

次に学歴別に見てみましょう。

学歴別生涯年収(2020年) 出典:労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2022』

最も生涯年収が高くなるのは大学・大学院卒で、男性は2億6千万円、女性は2億1千万円となっています。

また、雇用形態が異なると生涯年収は大きく異なります。学校を卒業後、フルタイムの非正社員を60歳まで続けた場合の企業規模別の生涯年収は次のようになり、正社員の場合と比べてどの企業規模においても1億円前後少なくなり、企業規模が大きくなるほどその差が大きい傾向にあります。

■非正社員の生涯年収

フルタイムの非正社員を60歳まで続けた場合の企業規模別の生涯年収(2020年)

■正社員の生涯年収(再掲)

正社員の生涯年収(再掲)<企業規模別生涯年収(2020年)> 出典:労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2022』

ここまでのデータには退職金が含まれていませんが、退職金の金額によっても生涯年収は大きく変わります。退職金を受け取ったあと、平均引退年齢である71歳まで非正社員として仕事を続けた場合の生涯年収は次のとおりです。

フルタイムの正社員を60歳まで続け、その後、平均引退年齢(71歳)まで非正社員として仕事を続けた場合の生涯年収(退職金含む/2020年)

退職金の金額は企業規模が大きくなるほど高くなり、生涯年収の差がより開いています。また、退職後の賃金も企業規模や学歴による差が生じていることがわかります。

学歴が高いほど、そして企業規模が大きいほど、生涯年収は高くなる傾向にあるんだね。それに正社員と非正社員の差はかなり大きいし、自分の働き方を考えるときには生涯年収も意識することが大切だね。
将来の生活費は増加予想。
人生に必要なお金について考えよう!
「LESSON1 お金の計画の必要性」

一生にかかるお金っていくらになるの?

1億円~3億円となる生涯年収に対して、一生にかかるお金は約3億円と言われています。主に大きなライフイベントは「結婚」「住宅購入」「教育」の3つで、たとえば結婚にかかるお金は、20代のアンケート調査によると結婚式で200万円~400万円ほどかかっています。

⇒「結婚にはいくらかかる?実際にかかった費用を20代にアンケート!」

住宅購入にかかるお金は地域や物件の種類によっても異なりますが、たとえば新築マンションを買う場合の全国平均の金額は4,528万円、土地付き注文住宅は4,455万円など大きな金額がかかります。
出典:「2021年度フラット35利用者調査」

他にも出産や親の介護、老後費用などにも大きなお金がかかります。

⇒「出産費用はいくら必要?自己負担額を抑える制度やみんなのお金事情を紹介!」

一生でかかるお金は、長生きするほどに大きくなります。全体的に平均寿命が延び続けている一方、生涯年収は減少傾向であり(下グラフ参照)、早いうちから、将来かかるお金を準備しなければならないと言えます。

同じ企業で60歳まで働いた場合の生涯年収の年別・学歴別推移(退職金含まず)

一生のうちには大きなお金が必要になるライフイベントが多くあるから、計画的な準備が大事よね。お金の計画をするためにも、ライフプランやキャリアプランに目を向けて考えなきゃ!
【動画】「#1ライフプラン・マネープラン」

将来お金に困らないために、今から少しずつ準備しておこう!

それでは、どのように準備をすればよいのでしょうか。将来お金に困らないためには、次の3つの方法があります。

①収入を増やす
資産形成の基本は、収入を増やすことです。生涯年収も働き方によって大きく異なっていましたね。会社員の場合は、最も生涯年収が高い正社員として働けると収入を高くできそうです。また正社員であったとしても、資格取得などスキルアップをしたり、より年収の高い企業へ転職をしたりすることなどによっても、生涯年収アップを目指せます。

②支出を減らす
収入金額が変わらなくても、支出を減らすことで貯蓄を増やすことが可能です。色々な節約方法の中でも「固定費の見直し」はすぐに出来て効果の高い必須項目。スマホ代、保険料、住居費といった大きな固定費を中心に、不要なサブスクや会費を支払っているのに使っていないクレジットカードなど、定期的に引き落とされる費用についてもすぐに見直しましょう。
また、昨今値上がりしている電気代やガス代についても、どのくらいかかっているか意識し、使い過ぎないように工夫することが大切です。

⇒「貯金方法&節約方法をお金のプロが解説!」

③資産運用でお金を育てる
超低金利が続く預貯金のみで資産を眠らせておいてもお金はほぼ増えることがありません。物価上昇した際にはお金の価値が下がり、使えるお金が減ってしまいます。
収入を増やし、支出を減らし、毎月貯蓄できる金額を増やしたら、そのうちの一部は、株式や投資信託などの運用にまわし、世界や国内の経済成長に応じて自身の資産を育てる視点が大切ですよ。

資産運用を始めるなら、まずは運用益に税金がかからない制度であるNISA やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用しましょう。

NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類がありますが(※)、投資初心者にも気軽に始められるのが、定期的に同じ金額を投資信託に積立投資できる「つみたてNISA」です。毎月1,000円など少額からでも投資できるので、まずは始めてみてはいかがでしょうか。慣れてきたら月々の積み立て金額を増やすことで、より資産運用の効果を実感できるでしょう。
※2023年3月現在

なお、2024年1月からは、新しいNISA制度が始まります。
NISA制度を利用して投資できる期間が恒久化され、商品の購入後、配当金・分配金・譲渡益にかかる税金が無期限で非課税となります。今の制度に比べて、よりわかりやすく、長期の資産形成に適した制度といえますので、これを機に積極的な活用を検討してみてはいかがでしょうか。

iDeCoであれば、掛金に応じて大きく節税もでき、60歳まで引き出せないため強制的に老後資金を作れます。定期預金も選べる制度ですが、ほとんど増やせず非課税の恩恵を受けられないため、投資信託で長期積み立てをすると良いでしょう。また、勤務先に企業型確定拠出年金制度がある人も、2022年10月からはiDeCoをはじめやすくなっていますので、検討すると良いですね。
※マッチング拠出がある場合はiDeCoと併用できないため、どちらかを選択する必要があります。

⇒投資をするなら覚えておきたい!
リスクを抑えるためのポイント
「安心して投資するための3つのコツ 長期・積立・分散」

資産形成するには年収アップを目指したり、節約したりすることも大事だけど、資産運用で資産を育てることもできると良さそうだね!資産運用は時間を味方につけることが大事らしいから、今からコツコツ始めてみようかな
資産運用ってそもそも何だろう?
まずはキホンを身につけよう
「LESSON2 資産運用とは」

人生100年時代と言われている中で、誰もが将来のお金の不安を抱えているよね。でも、計画的にお金の管理をして準備をしておけば、不安は大きく減らせるはず!そのために、ライフプランをきちんと立てて、自分の生涯年収を意識しながら、今からできることを始めていきたいね!