第7回

出産費用はいくら必要?
自己負担額を抑える制度や
みんなのお金事情を紹介!

出産にはどれくらいの費用がかかるんだろう?出産の後は子育てが始まるし、
しっかり知識を付けてお金の準備をしていかなくちゃ!

妊娠・出産、そして子育てなど、子どもができるとさまざまな費用がかかります。一体どのくらいかかって、いくらくらい準備すればよいのでしょうか。子どもがいる20代の方を対象にしたアンケート結果とともにお伝えします。

出産費用はいくらかかる?どうやって貯めた?

■出産費用は平均46.7万円

出産までに必要な主な費用は次のとおりです。
・妊婦健診費用
・分娩・入院費用
・マタニティ・ベビー用品代

それぞれどのくらいの金額がかかるか見ていきましょう。

<妊婦健診費用>
妊娠が判明する初診から出産まで定期的に受ける妊婦健診は、公的医療保険の適用外のため、全額が自己負担となります。ただし、赤ちゃんの心拍確認後に母子手帳が交付された後は、お住まいの自治体からもらえる「妊婦健診14回分の補助券」を使うことができ、大きなお金がかかることは原則ありません。

補助券には1回あたりの補助上限額があり、医療機関によっては上限額を超えるところも。その場合、その差額を払うこととなります。補助上限額は自治体によって異なります。

また、母子手帳が交付される前の初診、補助券の対象とならない検査費用、補助券を使い切ってしまったあとの費用は自己負担となるため、補助券を使ったとしても、妊娠中にトータルで数万円~10数万円かかることもあります。妊娠がわかったら、通院する医療機関に、補助券を活用した健診スケジュールの相談を早めにすると良いでしょう。

<分娩・入院費用>
いよいよ出産というときの入院・出産にかかる費用の平均は、公立病院が45.2万円、病院によって金額にバラつきがある私立病院も含めた全施設での平均は46.7万円(令和2年度/室料差額を除く)です。公立病院における費用は地域によっても大きく異なり、最も平均費用が低い佐賀県では約35.2万円である一方で、最も高い東京都は約55.3万円という結果に。どこで産むかによって大きく変わりそうです。この出産費用の多くは、後述する「出産育児一時金」でカバーできます。

また、無痛分娩を選んだり、入院の際に個室を選んだりするとより多くのお金がかかります。ちなみに正常分娩では公的医療保険の適用がされず全額自己負担ですが、帝王切開などの異常分娩では公的医療保険が適用されるため、入院が長くなってもそんなに大きく自己負担が増えるわけではありません。

※出産費用データは「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について(厚生労働省)」より引用

<マタニティ・ベビー用品代>
マタニティ・ベビー用品代は、かけようと思えばいくらでもかけられるお金であり、人によって異なるため一概には言えませんが、ゆったりした通常服や、ベビー用品のレンタルなどを上手に活用した場合でも、10~15万円程度はかかると思われます。

■みんなは出産費用をどのくらい、どうやって準備しているの?

妊娠、出産には、色々なお金がかかりますが、みんなはどのくらい準備していたのでしょうか?20代の男女にアンケートをとったのでご紹介します。

出産のための貯金額はいくらでしたか?

出産の際の貯金額は、最も多かった回答が「100万円未満」の42.0%で、次に多かったのが「貯金していない」の12.9%。次に「100~200万円未満」の12.6%、「500万円以上」が10.2%と続きます。ゼロから100万円未満が全体の半分以上を占めている一方で、500万円以上の貯金をしていた人も10.2%と、貯金をしている人としていない人の差が大きいようです。

出産費用はどのように準備していましたか?

アンケート調査を見てみると、「貯金、定期預金など」で出産費用を準備する方が最も多く、約7割となっています。

次に多いのが「投資」です。これからのライフイベントに向けて「投資」を資金準備の手段として選ぶ方が約4人に1人の割合でいるということが分かります。若いうちから出産に向けて、預貯金や投資でしっかりとお金を準備しているようですね。

将来のイベントに備えて、貯める以外の方法を利用している人も、けっこういるんだなぁ。僕も試してみようかな。自分で費用を準備するほかに、費用を抑える方法はあるのかな? 私にも投資って、必要?

出産費用の自己負担額を抑える方法は?利用できる公的制度を紹介!

出産費用の自己負担額を抑える方法は、ずばり、国や社会保険の制度を活用すること!使える制度をお伝えします。

<出産育児一時金>
公的医療保険に加入している人が出産した際に、国から支払われるお金です。

子ども1人あたり42万円(※)。夫の扶養に入っている妻は、夫の加入している公的医療保険から支給されます。
※産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は40.8万円

<出産手当金>
出産のために会社を休み、給料の支払いがない場合に受け取れるお金です。

出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲で、会社を休んだ期間を対象として支給されます。金額は、給料のおよそ3分の2です。

1日あたりの金額=支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

<妊婦健診補助券>
自治体より交付される妊婦健診時に使える補助券。前述のとおり、健診にかかるお金を一定まで抑えられる制度です。

<高額療養費制度>
病院に支払った医療費(※)が高額となった場合に、自己負担限度額を超えた額が支給される公的医療保険の制度です。自己負担限度額は年齢や所得によって異なり、20代の一般的な所得の場合は、1ヶ月約8万円台が限度額のため、それ以上の負担は生じません。
※対象となる医療費は、保険適用される医療費のみ。入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まない

<医療費控除>
1年間の医療費が10万円を超えた場合に受けられる「所得控除」のこと。確定申告にて医療費控除を申告すれば、税金が安くなります。

出産育児一時金などで意外と自己負担額が少なく済むと知って安心した!
でも、妊娠・出産には何が起こるかわからないから、計画的に貯蓄していこう。
【動画】ママパパ向けマネーセミナー「子育て世帯のためのお金のはなし」
(1.ライフプラン・マネープラン)

子育て費用はいくらかかる?みんなはいつから準備している?

出産した後は、いよいよ子育てが始まります。生活費もかかりますが、大きな費用はやはり教育費。保育園や幼稚園から大学卒業まで、一体どのくらいお金がかかるのでしょうか。

進路別1年間の教育費

なお、保育園については、認可か認可外、また所得によっても金額が異なるため載せていませんが、保育園も幼稚園も「幼保無償化」が始まっており、3歳になると原則保育料は無償となります。

小学校から大学にいたるまで、公立と私立で教育費に大きな差があることがわかります。家計と今後のライフプランを見据え、計画的に進路を考えることが大切ですね。

さて、こうした子育て費用は、みんなはいつ頃から貯めているのでしょうか。アンケート結果を見てみましょう。

子育てにかかる費用はいつから準備を始めましたか?

結婚や妊娠をきっかけに貯め始めた人が多く6割近くにのぼります。結婚・妊娠より前から貯め始めたという人も13.2%いて、みなさん子育てに向けた備えの大切さをよく知っているようです。それではいくらずつ貯めているのでしょうか?

子育てにかかる費用について、月々どのくらい貯蓄(貯蓄、投資、学資保険など)していますか?

半数近くの人が「月1万円~5万円未満」を貯蓄しています。5万円以上という人も15%もいるようです。次にどんな手段で貯蓄しているのか、アンケート結果を見てみましょう。

子育て費用はどのように準備していますか?

7割の人が預貯金で貯蓄をしており、投資、学資保険で準備している人もそれぞれ4分の1ほどいるようです。預貯金だけでなく、投資や学資保険といった手段も多くの人が活用しているのですね。

子育て費用のうち生活費や高校までの学費については、基本的には手取り収入からまかなうのがセオリーです。準備したいのは、大学資金と、留学や浪人、サブスクールなど想定外のイベントにかかるお金。生まれてすぐに準備を始めれば、15~18年間準備期間がありますね。また、これだけの期間があれば、準備資金の一部を投資(コツコツ積立投資)にまわしても、大きな損をするリスクは抑えられるでしょう。

出産が終わったら子育てが始まるけど、子育てにかかるお金はかなり高額になりそうだね。
今から投資の知識を付けて、計画的に将来に備えていこう!
【動画】ママパパ向けマネーセミナー「子育て世帯のためのお金のはなし」
(2.どんな金融商品があるの?)

出産費用は一見高額に見えるけど、公的制度を活用すれば自己負担額を抑えられそうだね。その後の子育てにはまとまったお金が必要だから、今から計画的に備えないとね。長期的なお金の備えのために、投資でふやしていくことも考えてみたらどうかな?