LIBORの恒久的な公表停止について
本ページではLIBOR公表停止(2021年12月末)以前の情報を掲載しています。
2017年7月、英国の金融行為規制機構(FCA)の長官が、「LIBORを算出する際の基礎となる無担保資金市場での取引が十分に活発ではない」、「パネル行(LIBORを算出するためのレート(金利)をLIBOR運営機関に提示する銀行)が十分な実取引の裏付けがないレートの提示を継続することに不安を覚えている」を理由として、LIBORの算出基礎となるレートを提示するパネル行に対し、2021年末以降は当該レート提示を強制しない意向を表明しました。
これにより、2021年末以降、パネル行がレート提示を行わなくなる可能性があり、LIBORの恒久的な公表停止に至る可能性が高いとみられています。
LIBORとは
LIBORとは、ロンドン市場における銀行間取引金利(London Interbank Offered Rate)のことで、ロンドンのインターバンク市場において、世界の主要銀行が短期資金を調達する際の金利(無担保貸出金利)を平均して算出される指標金利を指します。
LIBORは、世界中の様々な金融取引(変動利付債やデリバティブ等)における金利決定の際の参照指標として利用されています(例:LIBOR+○%)。
現在対象となっている通貨は、米ドル、ユーロ、円、ポンド、スイスフランの5通貨で、世界の主要銀行(複数のパネル行)が提示するレートに基づいて金利水準が決定されます。
LIBORの恒久的な公表停止により影響を受ける金融商品について
変動金利型の金融商品は、その利息や配当等(以下「利息等」といいます。)の計算に適用される利率等が実勢金利を反映して見直され、実際の支払額が変動する商品です。
現在、変動金利型の金融商品は、債券(変動利付債、仕組債)、デリバティブ、証券化商品等と多岐にわたっており、その多くが利息等の計算の際の実勢金利としてLIBORを参照しており、2021年末以降に想定されているLIBORの公表停止は、これらの商品の利息等の計算に影響を与えることとなります。
2021年末以降の利息等の計算にLIBORを参照しているにも関わらず、LIBORの公表停止に備えた対応が定まっていない場合、公表停止後、お客様の受け取る利息等の額を計算できず、ひいては、お客様に影響を及ぼす可能性があります。
今後想定される事項
そのため、現在、変動金利型の金融商品を取り扱う市場参加者の間で、LIBORを参照すべき指標について、以下のような事項について検討が行われています。
【現在市場参加者の中で検討がされている主な事項】
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なお、LIBORの公表停止に備えて代替指標を採用するためには、各種手続きが必要となりますが、例えば社債である場合には、(社債要項の変更のための)社債権者集会の開催・決議が必要となる可能性があり、保有者(お客様)自身も対応が必要となることが見込まれています。
お知らせ
金利指標問題に関する意見交換会
本協会では、債券業務に携わる会員を中心として、円LIBORから新円金利指標への移行に伴う債券業務に係る対応や実務上の問題点等について意見交換を行うため、「金利指標問題に関する意見交換会」を設置しております。
本意見交換会では、日本銀行が事務局を務める「日本円金利指標に関する検討委員会」及び同検討委員会傘下の「債券サブグループ」に対し、円LIBORを参照する新発債の発行時に導入するフォールバック条項の考え方等に関する検討結果を整理した資料を提出しました。(提出資料 )
その他、今後もLIBORの恒久的な公表停止に関し、証券業界に有益となる情報を追加していく予定です。
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