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統計・調査・報告書

社債の取引情報の報告・発表制度について

2024.2.1

<本制度の趣旨>

<本制度の概要等>

本制度の趣旨

 これまで、日本では、社債の店頭取引における実際の取引価格を公表する制度はなく、取引当事者以外の第三者が取引価格を把握することは困難でした。
 社債の店頭取引の価格情報としては、日本証券業協会(以下「本協会」といいます。)が発表する売買参考統計値のほか、情報ベンダー又はその他の機関が発表している価格等がありますが、これらは気配等に基づき算出又は評価した価格であり、実際の取引価格ではありません。
 社債の流通市場の活性化のため、本協会では、日本で初めての取組みとして、社債の取引情報を発表する制度を設け、2015年11月2日より開始することとしました。

●注意事項

 協会員が他の協会員又は顧客との間において、本協会が発表している社債の取引情報により売買取引等の約定を行うことを保証するものではないことにご留意ください。

本制度の概要等

1.社債の取引情報の報告制度

 本協会が社債の取引情報を発表するためには、まず、取引当事者から社債の取引情報について報告を受ける必要があります。このため、取引当事者の一方となる証券会社に対して、本協会の「公社債の店頭売買の参考値等の発表及び売買値段に関する規則」において、社債の取引を行った場合は本協会への報告を行うよう義務付けており、報告対象の取引及び報告事項等は以下のとおりです。

〇 報告対象の社債の取引及び報告事項等

 報告対象となる社債は、以下の①~④の全ての要件を満たす社債の売買取引で、取引を行った証券会社が、前営業日午後3時~当日午後3時にシステムにおいて処理(又は承認)されたものについて、当日午後5時15分までに本協会への報告を行います。

  • ① 金融商品取引法第2条第1項第5号に規定する社債券(同条第2項の規定により有価証券とみなされる権利(同項各号に掲げる権利を除く)を含む)であること
  • ② 国内で募集又は売出しが行われたものであること
  • ③ 国内発行であること
  • ④ 払込元本、利金及び償還元本の全てが円貨であること※非公募債、サムライ債、短期社債、新株予約権付社債及び年度ごとに財務省が発表する「財投機関債の発行予定」に掲げる機関が当該年度に発行するものは対象外としています。

 ただし、証券保管振替機構の決済照合システムを利用して約定照合を行う取引については、証券会社が決済照合システムに約定照合のための情報を送信することにより、本協会への報告を行ったものとみなされます。証券保管振替機構の決済照合システムに前営業日午後4時45分~当日午後4時45分に送信されたデータを、本協会は当日午後5時15分までに証券保管振替機構から受領します。

 また、本協会が報告を受ける社債の取引情報は、以下の①~⑦です。

  • ① ISINコード
  • ② 約定年月日
  • ③ 決済年月日
  • ④ 約定単価(額面100円当たりの約定価格で、利含みの価格で約定した場合は当該利含みの単価)
  • ⑤ 取引数量(額面金額ベース)
  • ⑥ 売買の別
  • ⑦ 報告を行った証券会社を特定するためのコード(証券会社等標準コードなど)

 なお、1取引の取引数量が額面1億円未満の取引については、月次報告ができることとしています。さらに、取引数量が額面1,000万円未満の取引については報告の省略をすることができることとしています。

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2.社債の取引情報の発表制度の概要

 本協会は、証券会社から報告を受けた社債の取引情報から発表対象の社債の取引を抽出し、毎営業日、社債の取引情報を発表することとしています。

(1) 発表対象の社債の取引及び発表事項等

 発表対象となる社債は、以下の①又は②のいずれかに該当する(以下「発表基準」といいます。)社債の取引のうち、1取引の取引数量が額面1億円以上の取引です。

  • ① 銘柄格付がAA格相当以上であるもの
  • ② 銘柄格付がA格相当(Aマイナス相当を除く。)で、発行額が 500 億円以上であるもの
    (劣後特約付きのもの及び残存年数が20年以上のものを除く。)

「銘柄格付」とは、信用格付業者(金商法第2条第 36 項に定義する信用格付業者)のうち、本協会が指定する者から取得した格付(非依頼格付を除く)をいいます。

「AA格相当以上」とは、AA格相当以上の銘柄格付を一以上取得していることをいいます。

「A格相当(Aマイナス相当を除く。)」とは、取得した銘柄格付のうち最も高い格付が「Aプラス」、「A1」、「Aフラット」又は「A2」のいずれかであることをいいます。

「残存年数が 20 年以上のもの」とは、当該社債の償還日が発表日の前営業日から起算して 20 年後に応当する日以降であるものをいいます。

 本協会が発表する社債の取引情報の具体的事項は、以下の①~⑨で、原則として、報告を受けた日の翌営業日の午前9時を目途に、本協会ウェブサイトにおいて発表することとしています。

  • ① 約定年月日
  • ② 銘柄コード
  • ③ 銘柄名
  • ④ 償還期日
  • ⑤ 利率
  • ⑥ 取引数量(額面金額ベース)(「5億円以上」又は「5億円未満」の別を発表)
  • ⑦ 約定単価(額面100円当たりの約定価格)
  • ⑧ 売買の別
  • ⑨ 【参考】売買参考統計値(単価の平均値)(社債の取引の約定年月日と同日の売買参考統計値が発表されている銘柄のみ)

〇 当日分として発表する取引(具体例)

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  • ① 本協会は、10月2日の午後5時15分までに、証券会社及び証券保管振替機構から当日の社債の取引の情報の報告を受けます。
  • ② 10月2日の午後5時15分までに報告のあった取引(直接報告分及び保振経由分)の情報を10月3日の午前9時に発表します。
  • ③ 10月2日に約定した取引のうち、当日報告分以外(直接報告分は10月2日午後3時以降にシステムにおいて処理(又は承認)された取引、保振経由分は10月2日午後4時45分から午後9時までに決済照合システムに送信された取引)は、10月3日の報告分となり、10月4日の午前9時に発表します。

(2) 発表対象銘柄の更新

 本協会では、発表対象銘柄の更新を日次で行い、毎営業日、当日の発表対象銘柄の一覧を本協会ウェブサイトで発表することとしています。
 ただし、新規発行銘柄については、発行日の8営業日後の日に発表基準に該当する場合、発行日の10営業日後の日から発表対象銘柄に追加されます。

(3) 発表停止及び発表停止解除の取扱い

 (1)に規定する発表基準を満たしている社債であっても、下図の「発表停止基準の算定式」に該当する場合、又は、「申請に基づく発表停止」により発表停止の決定を行った場合には、発表停止基準に該当した日又は申請に基づく発表停止の決定を行った日の翌営業日から当該社債の取引情報の発表を停止します。新たに発表対象銘柄となる社債については、予定していた発表日からの取引情報の発表を停止します。
 なお、発表停止となった社債については、本協会ウェブサイトにおいて発表することとしています。

〇 発表停止基準の算定式

(A-B)-(a-b)≧ X

  • A:当該社債の当日の売買参考統計値
  • B:当該社債の前営業日の売買参考統計値
  • a:参照国債の当日の売買参考統計値
  • b:参照国債の前営業日の売買参考統計値
  • X:一定の数値

「売買参考統計値」は複利利回りの平均値(ただし、複利利回りを算出する際に用いる単価は小数点第3位までの数値(小数点第4位以下を切り捨てた数値)とする。)とします。

「参照国債」は発表停止基準又は発表停止の解除基準の算定に際し、当該社債が参照する国債をいいます。

「一定の数値」は本協会が別に定めることとしています(現在の値は下表参照)。

 発表停止基準の算定式に該当しない場合であっても、発表停止が真に必要であると認められる場合には、証券会社からの発表停止の申請に基づき、本協会が審査を行った上で、「申請に基づく発表停止」として発表停止の決定を行うことができることとしています。申請に基づく発表停止の決定を行った場合は、その旨及び当該決定の理由等について本協会ウェブサイトで発表することとしています。
 (参考資料) 「本協会における社債の取引情報の発表停止に係る審査について」

 発表を停止した社債の取引情報について、発表停止日の20営業日後の日から、発表停止を解除し、発表を再開することとしています。
 しかしながら、下図の発表停止の継続の算定式に該当する場合は、発表停止を継続し発表は再開しません。
 なお、「申請に基づく発表停止」については、下図の算定式に基づく発表停止の継続は行いません。

〇 発表停止の継続の算定式

(C-B)-(c-b)≧ Y

  • B:当該社債の停止基準該当日の前営業日の売買参考統計値
  • C:当該社債の発表再開判定日の売買参考統計値
  • b:参照国債の停止基準該当日の前営業日の売買参考統計値
  • c:参照国債の発表再開判定日の売買参考統計値
  • Y:一定の数値

「売買参考統計値」は複利利回りの平均値(ただし、複利利回りを算出する際に用いる単価は小数点第3位までの数値(小数点第4位以下を切り捨てた数値)とする。)とします。

「参照国債」は発表停止基準又は発表停止の解除基準の算定に際し、当該社債が参照する国債をいいます。

「一定の数値」は本協会が別に定めることとしています(現在の値は下表参照)。

〇 発表停止と発表停止の解除の例

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 本協会では、発表停止基準の算定式及び発表停止の継続の算定式における「一定の数値」(X及びY)について、以下のとおり定めています。

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                              (2024年11月1日更新)

(4) 発表中止の取扱い

 これまでは発表基準を満たしていたものの、格下げにより、発表基準を満たさないこととなった社債については、翌営業日から当該社債の取引情報の発表を中止します。
 新規発行等で新たに発表対象銘柄となる社債が、予定していた発表日までに発表中止基準に該当したことを本協会が確認した場合には、発表開始予定日からの取引情報の発表を中止します。
 発表中止は、発表停止とは異なり、解除の制度はありません。このため、一度発表中止基準に該当すれば、再度発表基準を満たさない限り、当該社債の取引情報が発表されることはありません。
 発表中止については、本協会ウェブサイトで発表することとしています。

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※ 詳細につきましては、 「社債の取引情報の報告・発表制度について(詳細版)」(PDFファイル)をご参照ください。

以  上