手口
劇場型の詐欺は、複数の業者が登場し、うまい話を信用させ、金銭を騙し取ろうとする手口です。
【例】
実在する証券会社から「あなたのところに、A株式会社の社債に関する書類が届いていないか。書類が届いたら連絡が欲しい。当社が社債を購入した価格より高く買取りをする」との連絡があった。
数日後、実在する別の証券会社からも同じ内容の連絡があった。暫らくして、A株式会社から社債に関する書類が届いたので、証券会社に転売して利益を得ようと考え、A株式会社に社債2,000万円の購入を申し込み、証券会社に購入代金を支払った。
数日後、証券会社から「購入代金に、ご主人のお金が含まれていたので、金融庁の監査が入る。一部、社債から株式に変えないとならない」との話があり、自宅を訪問してきた証券会社の社員に、5回に分けてさらに9,000万円を手渡しで支払った。その後、A株式会社、証券会社とも、連絡不能となってしまった。
【解説】
劇場型の詐欺は、複数の業者が登場し、業者Xから株式や社債等を買いませんかと勧誘があった後に、業者Yからもまた、当該銘柄を高く買い取ると連絡があります。この話に乗ってしまって金銭を支払うと、その後各社と連絡がとれなくなり、購入代金を騙し取られたことに気が付きます。
XとYは最初から騙すことを目的に、役割を演じた典型的な「劇場型詐欺」です。
また、業者等から「あなたは違法行為を行った」とトラブルの当事者に仕立て上げられ、解決のために金銭を要求されるケースも多く見受けられます。これは、あくまでも架空話であるので、慌ててお金を支払わないように注意してください。
名義貸し型の詐欺は、株や社債の勧誘のために名義を貸してくれと依頼し、それに応じた人を、後に違法行為の当事者に仕立てあげて、金銭を騙し取ろうとする手口です。
【例】
実在する証券会社から「あなたに、(有名大手飲料メーカー)B社の社債を購入する権利が当たっている。興味がないのであれば、その権利を譲ってほしい」と話しを受けたが、これを断った。
しかし、暫らくして、再び証券会社から連絡があり「あなたの名義を借り、500万円でB社の社債を購入した。B社から連絡があったら、あなたが購入したことにして欲しい。お礼に商品券を送付する」との話があった。この要求には了承した。
その後、B社から連絡があり「あなたは、名義貸しという違法行為を行ったので、訴える。訴えられたくなければ、すぐに購入代金を振り込んでくれ」と言われたので、購入代金を振り込んでしまった。
【解説】
名義貸し型の詐欺は、名義貸しを了承してしまうと、行政当局等を名乗る者から「あなたは名義貸しという違法行為を行った」とトラブルの当事者に仕立て上げられ、解決のために金銭を要求されます。
また、誰もが知っている証券会社の名前を名乗る者から、誰もが知っているメーカー等の社債を勧誘するケースも多く、知っている会社だと安心してしまう面もありますが、不審な点等がある場合、本協会や金融庁のホームページに掲載されている正規の電話番号に電話をして、事実関係を確認することが大切です。取引口座がある証券会社があるのならば、窓口へ確認するのも重要です。
被害回復型の詐欺は、以前に詐欺被害にあった被害者に対し、被害金額を回復できると持ち掛け、その後、何かと理由をつけて金銭を騙し取ろうとする詐欺です。
【例】
以前、未公開株の詐欺に遭った被害者のもとに、C氏から「あなたの保有する未公開株の買取が実行されないままなので、返金をしたい。返金額は300万円である。手続きは、D社が行う」との話があった。後にD社から連絡があり「返金額をあなたに振込むことになっていたが、送金できない。送金するためにはD社へ保証金を支払う必要がある」との話があったので、保証金を振り込んだ。
しかし、返金は実行されず、今度は、返金対応を引き継いだとするE社から連絡があり「あなたの返金について、F銀行の本店審査部へ一任した。審査に手数料がかかる」との話があり、今度はE社へ手数料を振り込んだ。暫くはE社と連絡を取り合っていたが、ある日突然連絡不能となってしまった。
【解説】
被害回復型の詐欺は、過去に未公開株等の被害(購入代金)を取り返したいと思っている人に、その被害を回復するとして救いの手を差し伸べますが、その条件として、高額な手数料等を搾取する手口です。もちろん被害回復は行われません。
被害を回復すると持ち掛けた業者は、最初は「あなたの銀行口座に買取金額を振り込む。手数料はかからない」と持ちかけますが、何らかの理由を付けて資金は振り込まないうえに、最終的には保証金等が必要であるとして、被害者から搾取しようとするケースも多いです。
また、被害回復型の手口では、弁護士等を騙ったケースも多く見受けられます。「あなたを騙した詐欺業者が捕まったので、被害を回復できる」といった連絡がありますが、その被害回復の条件として手数料を求めてきます。
未公開株の買取りをする会社は存在しないので、こういった話を持ち掛ける業者は、詐欺業者の可能性が高いです。
騙されないために
業者を確かめる
- 金融庁・証券取引等監視委員会などの行政機関、日本証券業協会・預金保険機構・日本投資者保護基金などの公的機関等の名称を名乗っている場合
ポイント1 実在する行政機関や公的機関が取引を持ちかけてくることはありません。これらの名称は、過去に被害に遭った人に対して、被害を回復すると称する場合によく用いられますが、実在する行政機関や公的機関が追加の支払いを求める形で被害を回復することはありません。
ポイント2 聞いたことのある行政機関や公的な機関の名前を聞かされると、安心してそのまま信用してしまいそうですが、決して相手の言うことを鵜呑みにしないようにしましょう。
ポイント3 連絡してきた者に折返しの連絡をする場合、その者から伝えられた連絡先は使わないようにしましょう。実在する機関を名乗りつつ、詐欺業者につながる連絡先を紹介していることが多いです。
もし連絡をする場合、ご面倒でもご自身で、インターネットで検索するなどして、その機関の連絡先を検索した上で、その連絡先に連絡を取ることが重要です。
→関係機関の公式ホームページへのリンク
- 「もうすぐ上場する」などと言って、自社の有価証券を勧めている場合
ポイント1 その会社は実在していますか?その会社から言われた電話番号やホームページのURLを使うのではなく、たとえばインターネットの検索サイトで社名を検索するなどして、ご自身でその会社が実在するかを確かめましょう。
ポイント2 未公開会社が、広く一般の個人投資家にまで声をかけて募集することは稀なことです。
ポイント3 未公開株には譲渡制限がついている場合が多く、売却して換金することは一般的に難しいです。仮に譲渡制限がついていなくても、取引される市場がないため、やはり売却して換金することは一般的に難しいです。
ポイント4 本当に上場の計画が進行している場合、上場に当たっての規則により、株主の管理を厳しくする必要があり、発行会社は株式が売買されないように対応することが一般的です。
ポイント5 未公開株が上場される場合、上場の1か月程度前に、上場予定の証券取引所から上場承認の公表が行われます(その証券取引所のホームページでもご覧になれます)。
なお、未公開株が上場されても、値上がりして利益が得られるとは限りません。
商品を確かめる
ポイント1 その会社は実在していますか?伝えられた電話番号やホームページのURLを使うのではなく、たとえばインターネットの検索サイトで社名を検索するなどして、ご自身でその会社が実在するかを確かめましょう。
ポイント2 未公開会社が、広く一般の個人投資家にまで声をかけて募集することは稀なことです。
ポイント3 未公開株には譲渡制限がついている場合が多く、仮に譲渡制限がついていなくても取引される市場がないため換金することが難しいのが一般的です。
ポイント1 その会社は実在していますか? 伝えられた電話番号やホームページのURLを使うのではなく、インターネットの検索サイトで社名を検索するなどして、ご自身でその会社が実在するかを確かめましょう。
ポイント2 未公開会社が、広く一般の個人投資家にまで声をかけて募集することは稀なことです。
ポイント3 取引される市場がないため、償還前に換金することが難しいのが一般的です。
ポイント4 「高利回り」は、裏を返せば、会社側がそれだけ高い利子を支払わないと買い手がつかないもの、とも言えます。
ポイント5 しばらくの間は約束どおり利子が支払われるものの、そのうち支払われなくなる、という手口もみられます。
ポイント1 流行りの言葉、ちょっと聞いたことがあるような言葉を持ち出していませんか?
【よく使われる言葉】
「iPS細胞」、「太陽光」、「再生エネルギー」、「シェールガス」、「メタンハイドレート」、「排出権」、「水資源」、「レアメタル」 、「海外不動産(マンション、農地)」
ポイント2 勧誘してきている業者は実在していますか? その業者から言われた電話番号やホームページのURLを使うのではなく、例えばインターネットの検索サイトで社名を検索するなどして、ご自身でその業者が実在するかを確かめましょう。
ポイント3 取引される市場がないため、換金することが難しいのが一般的です。
ポイント1 その外国通貨の為替相場を確かめましょう。インターネットの検索サイトで外国通貨名を検索すると、現在の為替相場の手掛かりを知ることができます。
【よく使われる外国通貨】
「イラクディナール」、「アフガニスタンアフガニ」、「スーダンポンド」、「サウジアラビアリヤル」
ポイント2 勧誘してきている業者は実在していますか? その業者から言われた電話番号やホームページのURLを使うのではなく、たとえばインターネットの検索サイトで社名を検索するなどして、ご自身でその業者が実在するかを確かめましょう。
ポイント3 日本でなじみのない外国通貨は、日本の主要な銀行では取り扱われておらず、日本円に再び両替することは困難です。
こんなケースは注意
ポイント1 自分だけの秘密にせず、ご家族や周りの方々に「このようなパンフレットが届いたけれど、どうしよう?」と相談しましょう。
ポイント2 パンフレットの会社とは別の業者から、「パンフレットが届いていませんか?」とか「パンフレットが届いたら教えてください」という電話が掛かってくる場合があります。
これが「劇場型」の始まりです。
「パンフレットが届いた人しか買えない」、「パンフレットが届いた人はラッキー」、「必ずもうかるので買った方がいい」、「後で高値で買い取る(または謝礼を支払う)ので、代わりに先に買っておいて」などと言い寄られても、決して相手にしてはいけません。
電話を掛けてきた者とパンフレットの会社とが「別人」と「偶然」を装っていても、実は仲間であることがよくあります。
- 見ず知らずの複数の人が、偶然あなたに同じ投資話を持ち掛けてくる
ポイント1 初めに「○○○を買いませんか?」と電話してきて、「要らない」と断ると、簡単に引き下がります。
次に、別の者が「○○○を勧める電話はありませんでしたか?」と尋ねる電話を掛けてきます。
そこであなたが「電話はあったけれど断った」などと答えると、その電話があったことがいかに幸運なことであったか、それを断ったことがいかにもったいないことか、を述べて、あなたに後悔の念を植え付けたうえで、「後で必ず高値で買い取るので、代わりに先に○○○を買っておいて」などと言って、先の業者の勧誘に応じるよう、そそのかします。
これらの者は、偶然を装っていますが、実は仲間で、全てシナリオどおりです。「劇場型」の典型です。
ポイント2 自分だけの秘密にせず、ご家族や周りの方々に「このような電話があったけれど、どうしよう?」と相談しましょう。
- 「支払期限はもうすぐ」、「先着○名限り」などと言って、判断やお金の支払を急がせる
ポイント1 "もうけるチャンスがあるのに、ゆっくり考えていたらそれを逃してしまう"という思いをあなたに植え付けて、冷静さを失わせ、行動を焦らせます。
ポイント2 あなたにそのようなもうけ話がなぜ来るのか、心当たりはありますか? 少し落ち着いて冷静に考えれば、"でき過ぎた"話であることに気がつくのではないでしょうか。
ポイント3 そのもうけ話、逃すと痛手ですか? もともとは無かったもうけ話ではないですか? 慌てて乗っかってお金を支払ってしまわずに、時間を掛けて、落ち着いて、慎重に。
ポイント4 自分だけの秘密にせず、ご家族や周りの方々に「このようなもうけ話があったけれど、どうしよう?」と相談しましょう。
・登録外務員証を提示して証券会社の営業員であることを証明された
ポイント 「登録外務員証」も「受験結果通知」も現実には発行されていません。このような書面を示された場合は「偽造」を疑ってください。
- 「グリーンシート銘柄」、「フェニックス銘柄」を勧誘してくる
ポイント 証券会社は、原則として、未公開株の購入を勧誘することはできません。グリーンシート銘柄制度は2018年3月31日をもって廃止されています。また、フェニックス銘柄制度については2016年6月30日以降、指定されている銘柄がありません。
このような勧誘があった場合には「詐欺」を疑ってください。
- 「もうあなたの分を予約している」などと言って、あなたが未公開株等を買うことに(勝手に)されている
ポイント 支払う必要のないお金の支払を強要された場合、ひとりで悩まず、ご家族や周りの方々に相談しましょう。
- あなたの未公開株関係での行為が法律違反である」などと言って、その解決名目のお金の支払を要求する
ポイント1 どの行為が何の法律違反なのか、よく確かめましょう。
"インサイダー取引規制違反"を持ち出す例がみられますが、グリーンシート銘柄・フェニックス銘柄以外の未公開株の取引にはインサイダー取引規制の適用はありません。
ポイント2 支払う必要のないお金の支払いを強要された場合、ひとりで悩まず、ご家族や周りの方々に相談しましょう。 支払う必要のないお金の支払を強要された場合、ひとりで悩まず、ご家族や周りの方々に相談しましょう。