本文へジャンプ
日証協について

「仕組債」とは?

1.そもそも「仕組債」とはどのような債券ですか?

  •  「仕組債」とは、文字通り、一般的な債券にはみられないような特別な「仕組み」をもつ債券です。
     この場合の「仕組み」とは、スワップ(※1)やオプション(※2)などのデリバティブ(金融派生商品)を利用することにより、投資家や発行者のニーズに合うキャッシュフローを生み出す構造を指します。こうした「仕組み」により、満期やクーポン(利子)、償還金などを、投資家や発行者のニーズに合わせて比較的自由に設定することができます。
※1 スワップとは、金利(固定金利と変動金利)や通貨(円と外貨)を交換する取引をいいます。例えば、スワップを利用することにより、金利が低下したときに受取利子が増加する(逆に金利が上昇すると受取利息が減少する)ような仕組債を作ることができます。 
※2 オプションとは、あらかじめ約束した価格で、一か月後、一年後など将来に売ったり買ったりできる権利をいいます。例えば、株価があらかじめ定められた価格を下回ったときに、この権利が行使されて、償還金が減額するような仕組債もあります。 
仕組債=債券+デリバティブ

 

2.「仕組債」の構造はどうなっているのですか?

  • 仕組債には、仕組債の発行者のほか、アレンジャーやスワップハウスなどの主体が関係しています。主に海外で発行され、日本国内で、販売会社により「外国債券」として販売(売出しなど)されています。
仕組債の構造(イメージ)

① 仕組債の発行者

 仕組債の発行者は、主に海外の金融機関です。アレンジャー(②)によってアレンジ(調整)された仕組債を発行し、資金調達を行います。
 仕組債の発行者は、リスクヘッジの目的で、スワップハウス(④)との間でデリバティブ取引を行っています(=「カバー取引」といいます。)

② アレンジャー

 仕組債を組成するための調整を行うのが、アレンジャーです。投資家ニーズを把握してどのような仕組債にするかを発行者(①)等との間でアレンジ(調整)します。

③ 販売会社

 仕組債の販売を行う証券会社です。アレンジャー(②)が販売する場合もあります。

④ スワップハウス

 デリバティブ取引を活発に行う金融機関等です。

 

 3.「仕組債」にはどのようなリスクがありますか?

 「仕組債特有のリスク」と「一般的な債券に共通するリスク」があります。

仕組債の特有リスク

  • あらかじめ定められた参照指標に基づきクーポン(利子)が決定される仕組債については、当該参照指標の変動により投資家が受け取るクーポン(利子)が減少するおそれがあります。
  • あらかじめ定められた参照指標に基づき償還金額が決定される仕組債については、当該参照指標の変動により償還金額が変動することで、投資家が受け取る償還金に差損が生じるおそれがあります。
  • スワップハウスなどにデフォルト(債務不履行)事由が発生した場合にも、損失が生じるおそれがあります。
  • 上記以外にも、仕組債の商品性によっては、参照指標(株価、株価指数、金利、為替、商品(コモディティ)価格等)等の変動により、投資家が受け取る償還金に差損が発生したり、償還金の支払に代えて株式などの有価証券の受け渡しにより償還されたりするような場合もあります。 

一般的な債券に共通するリスク

① 信用リスク

発行者の倒産などによって債券の利払いや元本の償還が履行されなくなるリスクです。発行者の信用リスクを判断する尺度として、民間の格付会社による「格付」を参照することが多いようです。 

② 価格変動リスク

満期償還まで保有せずに債券を途中売却する場合には、市場価格(時価)での売却になります。
その場合には、市場価格の状況によっては、売却価格が購入価格を下回り損失が発生することがあります。 

③ 為替変動リスク

外貨建ての債券の場合には、当該外貨の為替レートの変動によって為替差損が発生する場合があります。例えば、債券を途中で売却する場合には、売却するときの為替レートの差額、満期償還の場合には、償還日の為替レートと購入時の為替レートとの差額がマイナスのとき、それが為替差損となります。 

④ 流動性リスク

債券の流通市場がない場合や、市場環境の変化により流動性(換金性)が著しく低くなった場合などにおいては、債券を売却することができない可能性があります。

 

 このほかにも、仕組債のリスクはありますので、目論見書や契約締結前交付書面などをよく読んで、内容を十分に理解しましょう。また、上記の事項を含め、不明な点があれば、販売会社に説明を求めましょう。

 なお、次の説明も参考にしてください。