日証協について
IOSCO 世界投資者週間(World Investor Week)2024
証券監督者国際機構(IOSCO)では、10月に「世界投資者週間(WIW)」を定め、世界規模で投資者教育、金融リテラシーに関するメッセージの普及・拡散を図り、関係機関によるグローバルなキャンペーン活動を実施しています。
本年は、10月4日から10日を「世界投資者週間」と位置づけ、本協会においても、イベントの開催や周知用バナーのWEBページ掲載等を通じて、WIWのキャンペーン活動に積極的に参画・協力しています。
Key messages
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〇 テクノロジーとデジタル金融
賢い投資者は、
- 今日の急速に変化する投資環境の中でも、時間をかけて調べたうえで投資判断を行う
- デジタルツールの中には自身の資金管理に役立つものもあり、それをどのように用いるかを理解しているほか、デジタルツールは損失や詐欺を防ぐものではないこと、また、投資を行う都度、自分で徹底的に調べ続ける必要があることも知っている
- オンライン上の情報ソースについて、正当なものとそうでないものを区別する方法を知っている
- フィンフルエンサー(金融系インフルエンサー)が紹介する投資機会には報酬が発生しているかもしれず、利益相反が生じている可能性があることを理解している
- ソーシャルメディアにおけるフィンフルエンサーは、フォロワーの個々の事情を把握しきれないため、彼らの投資推奨の内容が不適切となる場合もあることを理解している
- 新たなテクノロジー(AIやゲーミフィケーション、メタバースを含むデジタル機能等)が投資手法にもたらす新たな可能性を理解している一方で、行動バイアス(思い込みの助長や群集心理等)によって投資行動に悪影響が及ぶ可能性があることも認識している
- デジタル・エンゲージメント・プラクティス(DEP) 、コピー・トレーディング 、フラクショナル・トレーディング(単位未満の取引) 等といった慣行の潜在的なリスク、また、それらを通じた取引が自身のリスク許容度と合っているかを認識している
つまり:
賢い投資者は、 - デジタルツールによって、投資が迅速かつ簡単になること、そして長期的でリスクに応じた投資計画を策定する際に、より多くの情報に基づいた投資判断を下すのに役立つことを理解している
- デジタル・エンゲージメント・プラクティス、コピー・トレーディング、フラクショナル・トレーディング等に組み込まれている投資や戦略について、資金を投じる前に、その内容を調べて理解している
- 透明性の高い手続きやライセンスをもつ、信頼性の高いプラットフォームを利用する
- 教育目的でコンテンツを発信するフィンフルエンサーと商業的利益のみを目的としたフィンフルエンサーを見分ける方法を知っている
- フィンフルエンサーの推奨に疑問なく従うことは避け、金融系のコンテンツ作成者のプロフィール(学歴、経験、資格等)を確認する
〇 暗号資産
賢い投資者は、
- 暗投資先の商品の内容と暗号資産に関係するリスクを理解している
- 詐欺師は積極的に投資者の暗号資産への関心を悪用し、”投資“を推奨して資金を騙し取ろうとすることを認識している。たとえば、国境を超えた犯罪集団は「豚のぶった切り」と呼ばれる詐欺行為(時間をかけて関係性を構築したうえで資金を騙し取る詐欺)を通じ、投資者を暗号資産への投資に誘い込もうと積極的に取り組んでいる
- 暗号資産は数分で外国に取り消し不能な状態で移転される可能性があることを認識している
- 暗号資産業者の中には規制の外で活動している/規制を遵守していない者も多いこと、また、暗号資産の宣伝は誤解を招くものや著名人によるものも多いため、暗号資産に関わるときは、デュー・ディリジェンス(自分が投資しようとする対象について調べること)が殊更重要であることを認識している
- 暗号資産の取引プラットフォームが、その事業運営について国内で登録、免許、その他認可を受けていることを確認している
つまり:
賢い投資者は、 - 暗号資産に関連するリスク(法令諸規則の違反、詐欺、ボラティリティ(値動きの大きさ)、誤解を招く宣伝、発行体や仲介業者の破産や倒産の可能性等)を理解している
〇 サステナブル・ファイナンス
賢い投資者は、
- サステナブル・ファイナンスは様々な呼び名で表現されることを認識している(例:ESG(環境・社会・ガバナンス)投資、社会的責任投資、インパクト投資等)
- 投資商品の説明資料を確認し、ESGやサステナブル・ファイナンスに関する様々な要素がどのように評価されているかを確認している
- 投資商品のサステナブル・ファイナンス上のアプローチが、投資者自身の目標、目的、リスク許容度、選好と一致するかを考慮している
- サステナブル・ファイナンスの投資商品にはそれぞれ違いがあるため、個別に評価する必要があることを理解している
つまり:
賢い投資者は、 - サステナブル投資は様々な呼び名(ESG投資、社会的責任投資、インパクト投資等)で表現される可能性があるが、投資者自身の目標、目的、リスク許容度と一致するかを考慮に入れることが重要であると認識している
- 説明資料に目を通しており、サステナブル・ファイナンスの投資商品はそれぞれで内容が大きく異なりうるため個別に評価する必要があることを認識している
〇 詐欺の未然防止
賢い投資者は、
- 投資業者(業者、外務員等)が許認可を受けていることを確認している
- 投資前にその投資商品/サービスについて自分で調べる
- 多くの質問を投げかけて慌てずに決断することで、「一攫千金」や「絶対負けない」と謳うスキームを避ける
- 期待するリターンは絶対的に保証することができないものであると認識している(リスクなしでハイリターンを「保証する」ような約束は危険信号であり注意が必要)
- 急いで投資判断を下すよう圧力をかけてくる人は信用しない
- その場で投資せよという過剰な売り込みとプレッシャーは落ち着いて無視する
- 国外への送金要求に疑問を持つ
- 予期しない電話やその他のやりとりで個人情報を開示しない
- 金銭に関わるデータが含まれている口座では、強力なパスワードや2段階認証等の優れたデータセキュリティ手段を必ず使用する
- SNSを通じた一方的な投資勧誘に注意する
- インターネット上で見つけた投資情報について、その情報源を確認している
〇 投資家としての強靭性
賢い投資者は、
- インフレ(物価上昇率)が人々のモノやサービスを買う資力に与える影響を踏まえ、運用実績の評価にあたっては実質リターン(物価上昇率を加味したリターン)を利用している
- 長引くインフレ環境下で、各種資産がどのように動くか、また、各種資産の魅力にどのような影響を与えるかを理解している
- とりわけ1つの予期せぬ事象による損失から身を守る観点から、分散投資の重要性を認識している
- 緊急用の資金を十分に備えて金融ショックを乗り切る
- リスクはいかなる投資にも存在することを理解している
- 家計上、リスクを管理し、インフレの影響を軽減し、高金利借入を回避しながら、人生における予期せぬ困難に備えている
〇 投資の基本
賢い投資者は、
- 投資詐欺を示唆する早期の危険信号を察知し、自身が何に対してお金を使っているのかを理解している(よく考えてから行動している)
- 長期・積立・分散投資の利点を認識している
- 将来の必要性と目標に沿って計画を立てて投資している
- 複利の効果を認識している
- 投資先を選ぶ際に手数料負担の確認を行っている
活動状況
本協会の金融・証券教育支援事業については、2024年8月、金融経済教育推進機構(J‐FLEC)に移管しました。J-FLECの活動内容については、https://www.j-flec.go.jp/をご参照ください。- 個人投資家向け周知活動
中長期的な資産形成に適した税制優遇制度であるNISA(少額投資非課税制度)等のポイントを特設サイトやリーフレットにまとめ、情報発信を行っています。
詳細は以下のページをご覧ください。
https://www.jsda.or.jp/nisa/index.html(特設サイト「みんなにいいさ!NISAがいいさ!!」)
- 「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止に係る広報活動
「株や社債をかたった投資詐欺」被害の防止を図るため、警察、行政機関、協会員との連携強化等を通じて、一般消費者・投資者に注意喚起を行います。
(参考)https://www.jsda.or.jp/about/hatten/inv_alerts/alearts05/index.html